一見するとヤシの仲間のように見えますが、ソテツは裸子植物でイチョウ、マツ、スギなどの仲間に入り、ややシダの性質を持っている特殊な植物です。種子植物のなかで最も原始的なものと考えられています。ソテツの仲間は世界で約100種が知られており、熱帯から亜熱帯にかけて分布しています。日本ではソテツ1種のみが琉球列島や南九州に分布し、海岸の岩場、低地の崖で普通に見られます。根には根粒があり、藍藻類を共生させて、窒素固定能力を持つために、痩せた土地でも生育できます。弱った株は鉄を打ち付けると元気になるといわれることから、和名のソテツ(蘇鉄)は「鉄で蘇る」ことより和名のソテツ(蘇鉄)という名が当てられています。
雄株と雌株があり、秋から冬に雌株は幹の先端に長さ4cmで卵形朱色の種子を20個ほどつけます。 種子や幹には多量のデンプンを含んでいますが、猛毒のサイカシンも含まれており、毒抜きには取り出したデンプンを十分に水洗し、発酵させ、乾燥させて食用とされていました。琉球列島では、飢饉の際に飢えをしのぐために毒抜きをしたソテツが食べられていました。しかし十分に毒抜きがなされずに、中毒を起こし死亡者がでる場合もあったことから、危険な植物であることは承知の上で、生きていくためにソテツを食べていた時期を「ソテツ地獄」と言われています。